公務員、早期退職(公務員 → 民間 → アーリーリタイア)

43歳で地方公務員を早期退職し、民間勤務1年を経てアーリリタイアし専業個人投資家に転身した瀬野航太のブログです。資産運用歴は兼業時代も含めて23年。投資手法は昔ながらのアセットアロケーションです。

日本株ETFにおける暴落の定義とそれを踏まえた投資戦略とは?

日本株暴落」「日本株が大幅な下げ」など年に数度は、そういう見出しが新聞に躍ります。ただ、暴落の定義って何パーセント下げたら暴落って、メディアの方は考えているのでしょう?そんな疑問が先日沸きました。そして、その上で暴落した場合は何営業日でその下げた水準を戻すのでしょう? つまり、レジリエンスにはどのぐらいの日数がかかる? そんな疑問が浮かびました。疑問が浮かんだら、解決しなければなりません。ということで調べました。



まず、調べる前に前提条件
日経225TOPIX、JPX日経400、1577野村日本株高配当70連動型上場投信(以下、野村 NF 高配当70とする)について調べる。これは私がポートフォリオに組み入れているETFです。
終値で計算する。ティピカル値*1という考えもありますが、一般的な終値を使います。
・調査期間、長い方が良いでしょうが手間がかかるので2020年1月7日~とする。ただし、JPX日経400は設定日から。
・暴落の定義、年に4回起きる大幅な下げを暴落と定義する。(つまり、3カ月に1回の規模の下落)調査期間を踏まえて暴落回数のカウントを再定義する。
・回復に要した日数、暴落の前営業日の終値まで戻った日数を数える。




分析をする前に生データーを入れたただけのグラフを見てみます。これを見る限り、下記のことが分かりました。

・日経225は、値がさ株のみで構成されているので振幅幅が大きい。
TOPIXは、プライムの全銘柄の時価総額を基に算出しているので、他の指数よりは振幅幅が小さい。
・JPX400は、設定直後は振幅幅が大きかったですが、次第に落ち着いてきてる。
・野村 NF 高配当70は、ときおりインデックスETFを大きく上回る振幅となる。



以上を踏まえると、各々特性はあるようですが一番、振らされないのはTOPIXで一番振らされるのが日経225、野村 NF 高配当70。ただ、野村 NF 高配当70はインデックスではないので同列には議論できないとも考えます。さて、それでは個々の銘柄について前提条件に基づいて調べていきます。



まずは、日経225です。
調査期間が3年と2カ月ちょっとなので、暴落回数のカウントは年4回の暴落と仮定し、4×3年+1回=13回とします。そして、調査期間の下落率上位13位を暴落と定義すると、1位-6.08%で13位は-3.01%でした。つまり、-3%以下が暴落と言うことになります。

 


次に暴落前の株価に戻るのに何日を要したかです。レジリエンス能力ってヤツでしょうか? これについては、下記の表の通りですが特徴として一つの暴落が回復しないうちに次の暴落が始まり、暴落の回復期間の間に新たな暴落が生まれるという傾向が見られました。これはチャートで言う下落トレンド期間中と言うことかもしれません。その他、特に下落幅と回復期間に関係性は見つかりません。

下落率上位13位と下落分を回復するのに要した日数。


次に、TOPIXです。
調査期間は日経225と同じなので、暴落回数のカウントは4×3年+1回=13回とします。そして、調査期間の下落率上位13位を暴落と定義すると、1位-5.61%で13位は-2.61%でした。つまり、-2.61%以下が暴落と言うことになります。やはり、日経225よりは暴落率が低いようです。

 



次に暴落前の株価に戻るのに何日を要したかです。これについては、下記の表の通りですが日経225と同じく一つの暴落が回復しないうちに次の暴落が始まり、暴落の回復期間の間に新たな暴落が生まれるという傾向が見られました。これもチャートで言う下落トレンド期間中と言うことかもしれません。その他、特に下落幅と回復期間に関係性は見つかりません。

下落率上位13位と下落分を回復するのに要した日数。


次に、JPX日経400です。
調査期間は、暴落回数のカウントを年4回と仮定したうえでJPX日経400が組成された日が2020年3月9日なので、この記事を書いている日から考えて4×3年=12回とします。そして、調査期間の下落率上位12位を暴落と定義すると、1位-5.03%で12位は-2.42%でした。つまり、-2.42%以下が暴落と言うことになります。日経225、TOPIXに比べると非常にマイルドです。


 



次に暴落前の株価に戻るのに何日を要したかです。これについては、下記の表の通りですが日経225、TOPIXに比べ暴落の回復期間の間に新たな暴落が生まれるという傾向は、少なく感じられました。これははっきりとは原因は分からないのですが日経225、TOPIXに比べるとマイルドでレジリエンス強化は高いとも考えられます。その他、特に下落幅と回復期間に関係性は見つかりません。







野村 NF 高配当70です。
調査期間が3年と2カ月ちょっとなので、暴落回数のカウントは年4回の暴落と仮定し、4×3年+1回=13回とします。そして、調査期間の下落率上位13位を暴落と定義すると、1位-5.89%で13位は-2.95%でした。つまり、-2.95%以下が暴落と言うことになります。

 




次に暴落前の株価に戻るのに何日を要したかです。これについては、下記の表の通りですが日経225と同じく一つの暴落が回復しないうちに次の暴落が始まり、暴落の回復期間の間に新たな暴落が生まれるという傾向が見られました。これもチャートで言う下落トレンド期間中と言うことかもしれません。その他、特に下落幅と回復期間に関係性は見つかりません。ただ、このETFは高配当を売り文句にしています。その配当落ち日の影響はあるとおもいます。具体的には2022年4月5日 -3.13%がそれにあたります。ただ、今回はそれも含めての分析としたいのでこの数字は除外しません。




さて、ここで各ETFの特徴も分かりやすくするために、数字を並べてみるとこんな感じになりました。これを見て投資戦略を考えてみることにします。見た感じ分かることに加えて、今までに分かっていることをまとめると。

・平均下落率で見ると、概ね3%台である。
・下落からの回復期間を見るとJPX400がダントツで早く回復している。
・日経225については、下落からの回復が遅いことが分かる。ただし、その原因は2021年2月25日の30,168.27円からの回復であるのでこの数字を異常値として無視すれば回復期間は、TOPIXなどと同等になる。
・暴落からの回復期間の間に新たな暴落があるという傾向については、共通しているがJPX日経400についてはその傾向が他に比べて薄い。




以上を踏まえて、考えつく投資戦略としては

・JPX400を買いの中心として、平均下落率を超える下落が起きた際に現物の買いを行う。
・買い付け量については、下落回復途上で新たな下落が起きる傾向があるので資金をスライス(何度かに分けて)して買いを行う。特にJPX400以外についてはその傾向が高いを踏まえて、買いの規模、回数を判断する。
・資金のスライスの回数は、平均回復日数を参考にその前後とする。



今後は、この運用方針でETFの買いを進めていきたいと思いますが、さてどうなるだろう? 
なお、この投資方法は私が勝手に「レジリエンス投資」と名付けました(笑)。今後もこの手法を使った投資について検討し、数字の更新も含めてブログで触れていきたいと思います。








※このページに載っている数字などについては、その正確さは保障しません。投資についても推奨するものではなく、投資する場合は自己責任で行われますようお願いします。













*1:代表値とも言う(高値+安値+終値)を3で割ったものが多く持ち入れられる。