仕事を辞めて資産運用を本業にするようになってから、新聞を徹底的に読み込んだり投資戦略を立てたり腰を据えて運用をしています。そんな中、私のようなアマチュア・トレーダーと機関投資家と呼ばれるプロ・トレーダーは、同じ事象でも見えている視点が違うんだなぁと感じた時のお話を今回はしたいと思います。そのお話をする前に、このお話の構成要素の説明をしたいと思います。
2022年12月14日現在の私の運用方針はこちら
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・製造業の国内回帰
→ 円安が進行すること、中国リスクで海外に出ていた工場が日本に戻り生産活動を進めること。
・ウォーレン・バフェットの見ているテレビという格言
→ 一般人が見ているテレビがモノクロであるならば、バフェットが見ているテレビはカラーテレビである。彼は同じ景色でもより多くの情報を得ることが出来る。
・松本 大
→ (まつもと おおき )マネックスグループ株式会社代表執行役社長CEO、マネックス証券株式会社取締役会長CEO。ゴールドマン・サックスにてトレードとして活躍。
・松本大とここだけトーク
→ マネックス証券 会長 松本大さんがお客様からの質問に答えるセミナー。事前に質問を集めるケースと、ガチンコでライブで質問に答える場合がある。
・瀬野 航太
→ 本ブログの筆者。学士(教養学)。2級ガソリン自動車整備士。20年ちょっとの技術系公務員生活、1年の民間企業勤務を経て専業個人投資家へ。運用歴は23年。
資金力は1.35億円。その内8,870万円が運用資金。投資手法はアセットアロケーションとバリュー投資、長期投資が中心。
それでは本編に入りましょう。
マネックス証券の松本大とここだけトークは、けっこう好きなセミナーで顧客から寄せられる質問にリアルタイムセミナーであれば、ガチンコで答えていく姿勢とその能力を持った松本大さんにいつも驚かされています。特に外資系運用会社で債権の運用などにも従事されていた経験もあるので、それに裏付けられた物事の読み方、感じ方は「なるほど! その視点があるか?」って感じることが多いです。そんなセミナー、私はいつもは黙って聞いていることが多いのですが、先日のセミナーで私の感じたことを松本大さんにぶつけてみることにしました。その印象とは。。
「製造業の国内回帰は起きるのか?」
これについては私(瀬野航太)は一般的なマスコミ報道や見立てとは、少し違った印象を持っています。まず、工場を日本国内に戻すことを企業側は検討するでしょう。それは間違いない。ただ、問題となるのは工員の確保です。日本では少子高齢化も進んでおり、さらの工場の労働は古い言葉ですが3K労働*1であるので現場の主体となる若年層は、倦厭し労働力の確保が難しいと考えています。外国人労働者で埋めようとしても円安や技能実習生などの問題でそれも難しく、結果的に思ったように工場の国内回帰は難しいと考えているのが私の見解でした。
それについて、松本大さんは
(内容の要約)
お言葉ですがある程度は戻ってくると思います。日本の工場の労働は、ロボット化もとても進んでおりそれを作るという労働に代わってきている。半導体工場なども含めて労働の内容が日本の製造業の場合は、そういう工場労働が多い。ファナックやナブテスコなど(中略)ラピダス、米IBMと提携の次世代半導体などもとても明るい材料。よって、製造業の国内回帰はあると考えています。
とのお答えでした。私の見解とはほぼ逆でしたが、ここで私が感じたのは「私(瀬野航太)と松本大さんでは見ている景色が違う。」ということでした。つまり・・
瀬野航太の見ている製造業 → 昔ながらの油にまみれながら部品を作る町工場的な製造業
松本大さんの見ている製造業 → 主に最新のロボティクスや半導体などの最先端の製造業
よくよく考えたら、私達の投資先(株式投資先)となり得る企業、つまり上場している企業ってどちらかいうと町工場的な製造業ではなくて、最新のロボティクスや半導体などを扱う最先端の製造業なんですよね。町工場も日本の製造業には必須な構成要素ですが、上場していない企業が大半で簡単には投資は出来ないわけです。となると、私の見解は間違っていることになります。というよりも前提の条件が全く見当違いだったと言うことです。
見ていた景色が、私(瀬野航太)と松本大さんではどうやら違ったようです。まさにウォーレン・バフェットの見ているテレビの格言そのものです。もう、反論する余地も全くありませんでした(笑)。投資の分析も大切ですが、その前提となる環境や条件をもう一度見直して今後も投資を続けていきたいと思いました。
そして、松本大さん、さすがです!。こういう顧客とのガチンコで質問に答えるセミナーは長く続けていらっしゃいますが今後も続けて欲しいなぁって改めて感じました。
*1:若年労働者が敬遠する「きつい」「汚い」「危険」な労働を、頭文字をとって3Kと呼びます。